袈裟功徳(15)

浣袈裟法(カン ケサホウ)
袈裟
(ケサ)をたたまず、浄桶(ジョウツウ)にいれて、香湯(コウトウ)を百沸(ヒャクフツ)して、袈裟をひたして、一時(イットキ)ばかりおく。またの法、きよき灰水(カイスイ)を百沸して、袈裟をひたして、湯のひややかになるをまつ。いまはよのつねに灰湯をもちゐる。灰湯ここにはあくのゆといふ。

袈裟を洗う方法。
袈裟を畳まずに水桶に入れて、清浄な湯を十分に沸かして袈裟を浸して暫く置く。もう一つの方法は、清浄な灰水を十分に沸かして、袈裟を浸して湯の冷めるのを待つ。今では普通 灰湯を使用する。灰湯は、日本では あくの湯 という。

灰湯(カイトウ)さめぬれば、きよくすみたる湯をもて、たびたびこれを浣洗(カンセン)するあひだ、両手にいれてもみあらはず、ふまず。あかのぞこほり、油のぞこほるを期(ゴ)とす。

灰湯が冷めたならば、その清く澄んだ湯で袈裟を何度も洗い、その時に両手でもみ洗ったり踏んだりしない。そのようにして、垢が除かれ、油が除かれるまで洗うのである。

そののち、沈香(ジンコウ)、栴檀香(センダンコウ)等を冷水に和(ワ)してこれをあらふ。そののち、浄竿(ジョウカン)にかけてほす。よくほしてのち、摺襞(シュウヘキ)して、たかく安じて、焼香散華(ショウコウ サンゲ)して、右遶数帀(ウニョウ スウソウ)して礼拝(ライハイ)したてまつる。

その後、沈香 栴檀香などを混ぜた冷水でこれを洗い、そして清浄な竿に掛けて干す。袈裟を十分に干してから畳んで高所に安置し、香を焚いて花を散らし、右回りに数回まわって礼拝をする。

あるいは三拝、あるいは六拝、あるいは九拝して、胡跪合掌(コキ ガッショウ)して、袈裟を両手にささげて、くちに偈(ゲ)を誦(ジュ)してのち、たちて如法(ニョホウ)に著(ヂャク)したてまつる。

或いは三拝、或いは六拝、或いは九拝してから胡跪(右膝を地に着け、左膝を立てて上体を起こす。)して合掌し、袈裟を両手で捧げて、袈裟を掛ける言葉を口に称えてから、立って作法に従って身に着ける。

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