おほよそ衣に三種あり。一者(イチニハ)糞掃衣(フンゾウエ)、二者(ニニハ)毳衣(セイエ)、三者(サンニハ)衲衣(ノウエ)なり。糞掃は、さきにしめすがごとし。
およそ衣(袈裟)には三種類があり、一には糞掃衣、二には毳衣、三には衲衣です。糞掃衣については、先に説いた通りです。
毳衣者(セイエハ)、鳥獣細毛、これをなづけて毳(セイ)とす。行者(ギョウジャ)若(モ)し糞掃の得べき無きには、之(コレ)を取って衣と為(ナ)す。
毳衣とは、鳥獣の細い毛を織ったもので、この織物を毳と言います。修行者が、もし糞掃衣を得られない場合は、これを選んで衣にします。
衲衣とは、朽故破弊(キュウコ ハヘイ)したるを、縫衲(ホウノウ)して身に供(クウ)ず。世間の好衣(コウエ)を著(ヂャク)せず。
衲衣とは、着古して破れた布をつづり合わせて身に着ける衣のことです。世間の美しい服は着ないのです。
具寿(グジュ)鄔波離(ウバリ)、世尊に請(コ)ふて曰(イワ)く、「大徳世尊(ダイトク セソン)、僧伽胝衣(ソウギャチエ)、条数(ジョウスウ)幾(イク)ばくか有る。」
仏弟子の鄔波離は釈尊に尋ねました。「世尊よ、大衣(大袈裟)の縫い合わせる条数は、どれくらいの数なのでしょうか。」
仏の言(ノタマ)はく、「九有り。何をか謂(イ)って九と為す。謂(イワ)く、九条と十一条と十三条、十五条と十七条と十九条、二十一条と二十三条と二十五条なり。
釈尊は答えて、「大衣(大袈裟)の条数には九種類がある。その九種類とは、九条と十一条と十三条、十五条と十七条と十九条、二十一条と二十三条と二十五条である。
其(ソ)の僧伽胝衣、初め三品(サンボン)は、其の中の壇隔(ダンキャク)は両長一短(リョウチョウ イッタン)なり、是(カク)の如(ゴト)く持すべし。
その大衣の初めの三種は、各条を長い布二枚と短い布一枚とで組み合わせて作るのである。このような大衣を身に着けなさい。
次の三品は、三長一短(サンチョウ イッタン)なり。後の三品は、四長一短(シチョウ イッタン)なり。是(コ)の条を過ぐるの外は、便(スナワ)ち破衲(ハノウ)と成(ナ)る。」
次の三種は、各条を長い布三枚と短い布一枚とで組み合わせて作り、後の三種は、長い布四枚と短い布一枚とを組み合わせて縫うのである。この条数を過ぎた大衣は、僧衣の定めを破るものである。」