袈裟功徳(28)

おほよそ袈裟は、仏弟子の標幟(ヒョウシ)なり。もし袈裟を受持しをはりなば、毎日に頂戴したてまつるべし。頂上に安じて、合掌してこの偈(ゲ)を誦(ジュ)す。

およそ袈裟は、仏弟子であることの目印です。もし袈裟を受けたならば、毎日、頭にいただいて敬いなさい。袈裟を頭の上に載せて、合掌して次の言葉を唱えるのです。

「大いなる哉(カナ)解脱服(ゲダップク)、無相の福田衣(フクデンエ)、如来の教えを披(ヒ)し奉(タテマツ)りて、広く諸(モロモロ)の衆生(シュジョウ)を度(ワタ)さん。」

「大いなるかな解脱の服よ、一切の執着を離れて幸福をもたらす衣よ。如来の教えを身に着けて、すべての人々を悟りの浄土へ渡さん。」

しかうしてのち著(ヂャク)すべし。袈裟におきては、師想塔想(シソウ トウソウ)をなすべし。浣衣(カンエ)頂戴のときも、この偈を誦するなり。

このようにして唱えた後に袈裟を着けなさい。袈裟のことを教えの師と思い、尊い仏舎利の塔であると思いなさい。又、袈裟を洗って、頭にいただいて敬う時にも、この言葉を唱えるのです。

仏の言(ノタマ)はく、「剃頭(テイヅ)して袈裟を著せば、諸仏に加護せらる。一人出家せば、天人(テンニン)に供養せらる。」

釈尊が言われるには、「剃髪して袈裟を着ければ、すべての仏が守り助けて下さる。一人出家すれば、その人は天界の人々や人界の人々に供養される。」と。

あきらかにしりぬ、剃頭著袈裟(テイヅ ヂャク ケサ)よりこのかた、一切諸仏に加護せられたてまつるなり。

明らかに知られることは、剃髪して袈裟を着けた後には、すべての仏たちが守り助けて下さるということです。

この諸仏の加護によりて、無上菩提(ムジョウ ボダイ)の功徳円満(クドク エンマン)すべし。この人をば、天衆人衆(テンシュ ニンシュ)ともに供養するなり。

この仏たちの加護によって、無上の悟りの功徳が円満するのです。又この人を、天界の人々や人界の人々が共に供養するのです。

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