袈裟功徳(33)

これ阿練若比丘(アレンニャ ビク)の、拾糞掃衣(シュウ フンゾウエ)の法なり。四種の糞掃あり、十種の糞掃あり。

これが閑寂処に住む僧の、糞掃衣にするぼろ布を拾い集める方法です。ぼろ布には四種があり、また十種があります。

その糞掃をひろふとき、まづ不穿(フセン)のところをえらびとる。つぎには大便小便ひさしくそみて、ふかくして浣洗(カンセン)すべからざらん、またとるべからず。浣洗しつべからん、これをとるべきなり。

ぼろ布を拾う時には、先ず布の穴の開いていない所を選んで取ります。そして、大小便が長く染み込んで、洗っても落ちない布は取ってはいけません。きれいに洗うことが出来る布を取るべきです。

十種糞掃衣。
一、牛嚼衣
(ゴシャクエ)。 二、鼠嚙衣(ソコウエ)。 三、火焼衣(カショウエ)。 四、月水衣(ゲッスイエ)。 五、産婦衣(サンプエ)。 六、神廟衣(シンビョウエ)。 七、塚間衣(チョウケンエ)。 八、求願衣(グガンエ)。 九、王職衣(オウショクエ)。 十、往還衣(オウゲンエ)

十種の糞掃衣。
一には牛の噛んだ服。 二には鼠のかじった服。 三には焼け焦げた服。 四には月経で汚れた服。 五には産婦が用いて汚れた服。 六には神廟に捧げて捨てられた服。 七には墓場に捨てられた死人の服。 八には山野で神に祈願して捨てた服。 九には国王が即位 灌頂の式を行った後に捨てた服。 十には葬儀の時に死者に掛けていた服。

この十種、ひとのすつるところなり、人間のもちゐるところにあらず。これをひろうて袈裟の浄財(ジョウザイ)とせり。三世(サンゼ)の諸仏の讃歎(サンタン)しましますところ、もちゐきたりましますところなり。

この十種の服は人が捨てるものであり、人間が使用しないものです。これを拾って袈裟の清浄な衣材とするのです。この糞掃衣は過去 現在 未来の仏たちが賛嘆されるものであり、この仏たちが用いて来られたものなのです。

袈裟功徳(32)へ戻る

袈裟功徳(34)へ進む

ホームへ