供養諸仏(2)

(くようしょぶつ)

仏本行集経(ブツホンギョウジッキョウ)に云(イハ)く、
「仏、目犍連
(モッケンレン)に告げたまはく、我れ往昔(オウジャク)を念(オモ)ふに、無量無辺なる諸(モロモロ)の世尊の所(ミモト)に於て、諸の善根(ゼンゴン)を植え、乃至(ナイシ)阿耨多羅三藐三菩提(アノクタラサンミャクサンボダイ)を求む。

仏本行集経(釈尊の伝記)に言うことには、
仏(釈尊)は目犍連(目連)に言われた、「私は昔を思うに、無量の諸仏の所で多くの善根(善報を受ける行い)を植え、仏の無上の悟りを求めた。

目犍連、我往昔を念ふに、転輪聖王(テンリンジョウオウ)の身と作(ナ)りて、三十億の仏に値(ア)ふ。皆同じく一号にして釈迦(シャカ)と号す。

目犍連よ、私は昔を思うに、転輪聖王(偉大な統治者)となって三十億の仏に会った。これらの仏たちは皆同じ名前で釈迦と呼ばれた。

如来及び声聞衆(ショウモンシュ)まで、尊重(ソンジュウ)し承事(ショウジ)し、恭敬(クギョウ)し供養して、四事具足す。所謂(イワユル)衣服(エブク)、飲食(オンジキ)、臥具(ガグ)、湯薬(トウヤク)なり。

私は、これらの仏や声聞(仏の説法を聞いて悟る者)の弟子に至るまで、皆 尊重して仕え敬って衣服や飲食、臥具(敷物)、湯薬(湯茶薬)などを供養した。

時に彼の諸仏、我に記(キ)を与へず、汝 当(マサ)に阿耨多羅三藐三菩提、及び世間解(セケンゲ)、天人師(テンニンシ)、仏世尊(ブツセソン)を得て、未来世に於て正覚(ショウガク)を成ずることを得べしと。

だがその時に仏たちは、「お前は未来に仏の悟りを得て、世間を知る者、人間や天衆を導く者、世に尊き仏と呼ばれる者になるだろう。」と私に予言されなかった。

目犍連、我往昔を念ふに、転輪聖王の身と作りて、八億の諸仏に値ふ。皆同じく一号にして、燃燈(ネントウ)と号す。

目犍連よ、私は昔を思うに、転輪聖王となって八億の諸仏に会った。これらの仏たちは皆同じ名前で燃燈と呼ばれた。

如来及び声聞衆まで、尊重し恭敬して、四事供養す。所謂衣服、飲食、臥具、幡蓋(バンガイ)、華香(ケコウ)なり。

私は、これらの仏や声聞の弟子に至るまで、皆尊重し敬って衣服、飲食、幡蓋(貴人を上から高く覆うもの)、華香(花と香)などを供養した。

時に彼の諸仏、我に記を与へず、汝当に阿耨多羅三藐三菩提、及び世間解、天人師、仏世尊を得べしと。

だがその時に仏たちは、「お前は未来に仏の悟りを得て、世間を知る者、人間や天衆を導く者、世に尊き仏と呼ばれる者になるだろう。」と私に予言されなかった。

目犍連、我往昔を念ふに、転輪聖王の身と作りて、三億の諸仏に値ふ。皆同じく一号にして、弗沙(フシャ)と号す。

目犍連よ、私は昔を思うに、転輪聖王となって三億の諸仏に会った。これらの仏たちは皆同じ名前で弗沙と呼ばれた。

如来及び声聞衆まで、四事の供養、皆悉く具足す。時に彼の諸仏、我に記を与へず、汝当に作仏(サブツ)すべしと。」

私は、これらの仏や声聞の弟子に至るまで、皆すべて供養した。だがその時に仏たちは、「お前は未来に仏となるであろう。」と私に予言されなかった。

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