出家功徳(9)

これによりて、過去日月燈明仏(カコ ニチガツトウミョウ ブツ)の八子、みな四天下(シテンゲ)を領する王位をすてて出家す。大通智勝仏(ダイツウ チショウ ブツ)の十六子、ともに出家せり。大通 入定(ニュウジョウ)のあひだ、衆(シュ)のために法華をとく。いまは十方の如来となれり。

この道理によって、過去の日月燈明仏の八人の子は、皆 四方の国を治める王位を捨てて出家しました。また 大通智勝仏の十六人の子も共に出家して、大通仏の八万四千劫の禅定の間に、人々のために法華経を説き、今は十方の如来となりました。

父王 転輪聖王(テンリンジョウオウ)の所将衆中八万億人も、十六王子の出家をみて出家をもとむ。輪王すなはち聴許す。妙荘厳王(ミョウショウゴンオウ)の二子、ならびに父王、婦人みな出家せり。

大通仏の父である転輪聖王の率いる衆の中の八万億人も、十六王子が出家したのを見て、共に出家を願い求めたところ、輪王はすぐに許可しました。また妙荘厳王の二人の子と、父王、夫人も皆出家しました。

しるべし、大聖(ダイショウ)出現(シュツゲン)のとき、かならず出家するを正法(ショウボウ)とせりといふことあきらけし。このともがら、おろかにして出家せりといふべからず。賢にして出家せりとしらば、ひとしからんことをおもふべし。

知ることです。このように仏が世に出現したときには、必ず出家することが正法であったことは明らかです。この人たちは愚かなので出家したと言ってはいけません。賢いからこそ出家したのだと知り、自分もこの人たちと等しくなろうと思いなさい。

今釈迦牟尼仏(コン シャカムニ ブツ)のときは、羅睺羅(ラゴラ)、阿難(アナン)等みな出家し、また千釈(センシャク)の出家あり、二万釈(ニマンシャク)の出家あり、勝躅(ショウチョク)といふべし。はじめ五比丘(ゴビク)出家より、をはり須跋陀羅(シュバツダラ)が出家にいたるまで、帰仏のともがら、すなはち出家す。しるべし、無量の功徳なりといふことを。

今の釈迦牟尼仏の時には、子の羅睺羅や従弟の阿難などが皆出家し、また千人の釈迦族が出家し、続いて二万人の釈迦族が出家しました。これらは勝れた先人の足跡と言うべきです。釈尊の下で初めに五人が出家してから、最後に須跋陀羅が出家するまで、仏に帰依した人たちは皆すぐに出家しました。知ることです、出家には無量の功徳があるということを。

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